ASD息子の構音訓練

5歳

こんにちは、かこです。

発達障害に構音障害(構音とは発音の専門用語 厳密には構音≠発音)は関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、口腔機能発達不全症のように、”「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」が十分に発達していないか、正常な機能獲得ができておらず、口腔の機能の定型発達において個人的因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態” の発達障害の子がいます。

  詳しくは ASD息子の口腔機能 

構音障害は、発声や発音がうまくできない、話し言葉だけの障害のことをいいます。構音障害は、運動障害性構音障害、器質性構音障害、機能性構音障害の3つに分けられます。

その中の機能性構音障害は、発語に関わる器官の形の異常や、麻痺などの問題が見られないにもかかわらず、上手く発音ができないことをいいます。

また、聴力や知的発達・言語発達に遅れがないという鑑別診断が必要です。

さて、うちのASD息子はというと…

●中耳炎の既往歴はあるが、聴力は問題なし

●5歳7ヶ月時の『新版K式発達検査2001』にて、認知・適応の発達年齢は5歳0ヶ月で標準域、言語・社会の発達年齢は4歳4ヶ月で境界域

●発語に関わる器官の形の異常や、麻痺などの問題はないが、構音に誤りがあり、「き」→「ち」、「ぎ」→「じ(ぢ)」、「け」→「ちぇ」 となっていました。

構音はこれまでも本人のペースでゆっくり獲得できていて、本人も気にする様子もなく、様子見でいいかなとも思っていましたが、個別訓練を受けていたベテランSTの一言により、STママがASD息子に構音訓練を施すことになったのです…!! 詳しい経緯は ASD息子の口腔機能

さて、正しい音を産生する訓練を始める前に、語音弁別訓練(語音の聞き取り訓練)音節の分解・抽出・同定訓練をしていきます。

当時、息子はひらがなは一通り読めていました。しりとりもできていたので、音節の分解・抽出・同定訓練は不要でした。(例えば「たいこ」という単語は「た」「い」「こ」という音節から成り、その音の並びが理解できる)

当時、仮名の理解を促すためによく読んでいた絵本があります。

絵がとてもシンプルで分かりやすく、見た目もカラフルで楽しい絵本です。子どもにとって身近な単語が豊富にのっていて、語彙を増やす絵本として重宝しました。

リズミカルに読み聞かせができ、親子で楽しみました。絵も細かなところまで丁寧に書き込んであり、とてもユーモラスで、1ページ1ページ時間をかけて絵に見入っていました。

語音弁別訓練(語音の聞き取り訓練)も、ひらがな文字を用いて行いました。訓練のターゲットとなるか行の音、誤り音となるた行の音で、正しく聞き取りができているかを確認。

まずは、正しく構音で来ている「か」と「た」で、文字の「か」と「た」を見せておき、こちらが発音したのはどちらの文字かを指ささせます。音をランダムに聞かせたり、「こ」と「と」などでも同様に行い、やり方が十分分かったところで、発音が誤る「き」と「ち」で同様に実施。

初めは、こちらは「き」と言っているのに「ち」を指したりして混同していました。「き」の文字を見せ「きりんの『き』だね」、「ち」の文字を見せ「ちーずの『ち』だね」などと説明し、何度かやっていると、音の違いを正しく聞き分けることができるようになりました。

これで、準備はOK。舌の動きや筋緊張具合も問題ないと判断し、いよいよ構音産生訓練へ!!

うまく構音できないのは「き」「ぎ」「け」です。どの音から訓練に取り組むか、訓練方法は何にするか、言語聴覚士の判断になります。

「き」「け」では、「け」のほうが口が開き、舌の動きが確認しやすく、「か」は正しく構音できていたので、「か」から「け」を導く、漸次接近法を用いました。

簡単に説明すると、「か」と「え」を連続的に表出させ、「か」を短くしていって「け」に近づける方法です。この時、『「け」の練習をするね』、と言って意識させると、これまで代用していた誤り音「ちぇ」と混同してしまうこともあるので、あえて伝えませんでした。

「か、えー」 → 「かえー」 → 「kえー」 → 「けー」 といった具合です。

2回めの訓練時に「け」を導くことができました。そこから「けーけーけ」と連続で構音させたり、「けあ」「けい」「けう」「あけ」「いけ」「うけ」などと無意味単語で練習をし、安定したら語頭に「け」のつく単語(例:けむし)、語尾に「け」のつく単語(例:おまけ)、語中に「け」のつく単語(例:とけい)、短文といった具合にレベルを上げていきます。

「け」が落ち着いたところで「き」を次のターゲットにし、同様に進めていきました。「き」を習得すると、自然と「ぎ」も正しく構音できるようになっていました。

ほぼ毎日STママが訓練し、1ヶ月で構音はすべて治りました。ベテランSTも、構音訓練の素地はできている、と判断されていたのかもしれません。順調に成果が見られていたので、STママとしてもイライラすることなく、訓練を進められました。あんなに息子の言語訓練を拒んでいたのに!!

自由会話の中でも、短期間で安定して正しく構音できるようになった息子。ベテランSTに褒めてもらえるかと思いましたが、「構音、治りましたね」の一言で終わったのでした。そうですよね、STママですから当然ですよね…  いい経験をさせていただきました笑。

いかがでしたか? 発達障害があってもなくても、機能性構音障害となることがあります。構音障害は言語聴覚療法の対象です。小児科や耳鼻科で相談すると言語聴覚士を紹介してくれます

構音訓練はデリケートで、やり方によっては吃音が生じたり、お喋りをすることを拒んだりすることもあります。息子の場合は1例にすぎません。他の問題が重複している場合もあります。訓練方法や頻度もケースにより様々です。気になる方は、ぜひ専門職に相談してくださいね。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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